お酒を飲む器を比較していると、おちょことショットグラスは似たようなもの?と思う方もいるのではないでしょうか。
おちょこもショットグラスも小さな酒器で、アルコール度数の高いお酒を飲むときによく用いられています。
この記事では似て非なるおちょことショットグラスの違いを徹底比較しました。
そもそもおちょこってどんな酒器なの?ショットグラスってどういうものなの?という疑問にもお答えします。
おちょことは
おちょことは日本酒を飲むときに伝統的に用いられてきた小さな酒器です。宴席でも晩酌でも徳利と一緒に使うのが一般的です。
日本酒の瓶から徳利に注ぎ、徳利からおちょこに注ぐという使い方をします。
一升瓶から注ぐには小さい器なのも理由ですが、注ぎたての日本酒を「ちょっとずつ飲む」のがおちょこの醍醐味なのも理由でしょう。
おちょこの名前の由来には諸説ありますが、「ちょく(=ちょっと)」という説もあるくらいです。
日本酒の唎酒をするときに蛇の目の模様をあしらった唎猪口(ききちょこ)も有名ですよね。
白色の磁器に青の蛇の目を描いたおちょこは日本酒の本質を見極めるのに良いと言われています。
まさに日本酒のためにデザインされてきた酒器の1つと言えるでしょう。
ショットグラスとは
ショットグラスとは英語で「shot glass」と書くグラスのことで、アルコール度数の高いお酒を主にストレートで飲むときに使われています。
「shot」とは弾丸や銃撃などの意味のある言葉で、日本語のショットとほとんど同じ意味です。
ウイスキーやテキーラを代表として各種リキュールをストレートで飲み、自分自身をアルコールでショットするイメージで名付けられたという説があります。
強いお酒を飲むので小さいショットグラスがほとんどですが、ダブルグラスと呼ばれる大きな容量のショットグラスもあります。
なお、容量はシングルグラス、ダブルグラス、トリプルグラスといった種類ごとに決められています。ショットグラスはカクテルを作るときの計量器としても用いられているからです。
ショットグラスを使ってリキュールやジュースなどの分量を測ってカクテルを作るのは世界的におこなわれている方法です。
おちょことショットグラスの違いを徹底比較
おちょことショットグラスの概要を見てみると違いが少しずつ見えてきたのではないでしょうか。
どちらも小さな酒器なのは同じですが、飲むものにも違いがあったり異なる点がもちろんあります。
ここでは酒器としての違いを徹底比較しました。おちょことショットグラスの詳しい説明も添えながら、4つの観点から比較した結果を紹介します。
形状・デザインの違い
おちょことショットグラスの形状では、ショットグラスの方が丈を高く、おちょこの方が口径を広く作られている傾向があります。
また、円筒状やラッパ状のものはどちらにも共通していますが、丸みを帯びた形状のときに口をすぼめるつぼみ状がショットグラスでは主流です。
おちょこではデザインにこだわっている製品で少し見られるだけで、つぼみ状がショットグラスほどには一般的ではありません。
このようにちょっとした違いはありますが、全体的な傾向としてはおちょことショットグラスは似ていると言えるでしょう。
素材・材質の違い
ショットグラス
ショットグラスは「グラス(=ガラス)」と名付けられていることからもわかるようにガラス製が一般的です。
正確に言えば、ショットグラスではガラスの種類にもこだわっていて、お手頃なソーダガラスと高級なクリスタルガラスが使われています。
クリスタルガラスはソーダガラスに比べて割れやすいですが、透明度の高さと表面の微細な凹凸が特徴的で美しいのが魅力です。
ショットグラスは基本的にガラス製ですが、材質にこだわる製品が登場してきています。エテナのショットグラスもその一例で、鏡面仕上げの希少な錫製ショットグラスです。
おちょこ
おちょこは伝統的には陶器か磁器、つまり土が素材をして使われてきました。
木や竹を使ったものも多く、木製の漆器のおちょこもあります。ただ、おちょこをおしゃれに楽しむ文化が日本に浸透してきたおかげでガラスも使用されるようになりました。
ソーダガラスもクリスタルガラスもおちょこの素材として人気になっています。
また、おちょこには錫がよく用いられています。
錫には浄化作用があり、邪気を払うためにお酒を飲む文化がある日本では珍重されてきました。
おちょこだけでなくぐい吞みなどの日本の酒器には錫が活用されています。
大きさ・容量の違い
おちょこ
おちょこは「勺」という単位で容量を合わせて作るのが伝統です。
1勺は18mLで、10勺で1合(180mL)、10合で1升(1800mL)になります。
おちょこの大きさは2勺、4勺のものが多く、小さなものでは1勺、大きなものでは1合です。
もともとちょこっと呑めるのがコンセプトなので、よく販売されているのは2勺(36mL)の容量です。
ただ、デザインを重視して「勺」の単位にこだわらないおちょこも増えてきています。
ショットグラス
ショットグラスは計量器としての役割も果たしているのできっちりと容量が決まっています。
シングルグラスは30mL、ダブルグラスは60mLです。トリプルグラスなら90mLで、これ以上の大きさのショットグラスはあまりポピュラーではありません。
また、30mL=ワンショットというのが主流ですが、国によってはワンショット=75mLということもあります。
このような国ではダブルグラスがなく、75mLの容量のショットグラスが一般的になっています。
おちょことショットグラスの大きさは「勺」と「mL」という容量単位に文化的な違いがあるため、若干の差があります。
ただ、メインになっているのがおちょこでは2勺(36mL)か4勺(72mL)、ショットグラスではシングル(30mL)かダブル(60mL)なので大差はありません。
お酒の注ぎ具合で調整できる範囲なので大きな違いはないと考えても良いでしょう。
飲み物の違い
おちょことショットグラスは発祥した国や広まった地域の違いがあるため、飲むものにも違いが生まれています。
おちょこ
おちょこは日本酒を飲むのに使われます。
地域によっては焼酎をストレートで飲むときにもおちょこが使われることもあり、紹興酒などの中国酒にも使用されています。
ショットグラス
ショットグラスはウイスキーやテキーラ、ジンやウォッカなどのアルコール度数が高いお酒をストレートで飲むのに使用されます。
ただ、ウイスキーのチェイサーとして水を飲むときにもショットグラスを使うことがよくあります。
また、カクテルもダブルグラスやトリプルグラスに注ぐことがあるので、ショットグラスは活用範囲が広いと言えるでしょう。
おちょこ=ショットグラスとして使えるの?
おちょことショットグラスの違いを比較すると、似ているところが多いです。
ただ、おちょこをショットグラスの代わりにしてもいいのか、ショットグラスをおちょこの代替品にして大丈夫なのかと疑問に思う方もいるでしょう。
おちょこ=ショットグラスとして良いのか、まったく違う酒器とするべきなのかを考察してみました。
おちょこで強い洋酒を飲んでももちろんOK
まず、おちょこでウイスキーやテキーラなどの強い洋酒を飲んでもOKです。
ストレートで飲むときにはちょうど良いサイズなのでおちょこで飲んでみてはいかがでしょうか。
形状がショットグラスに似ているおちょこはリキュールの香りを上手に引き立ててくれます。
材質の違いによって味わいに変化が生まれ、新しい洋酒の楽しみ方ができるでしょう。
陶器や錫製のおちょこでウイスキーを飲んでみると違いに驚くかもしれませんよ。
おちょこに限らず、日本酒の酒器を使ってみるのもおすすめです。
ダブルかトリプルくらい飲みたいときには、ぐい吞みを使ってたっぷり飲めるようにすることもできます。
一般的な酒器とお酒の組み合わせにとらわれずに自由な発想で飲むのがおすすめです。
ショットグラスで日本酒を飲むのも楽しみの1つ
ショットグラスをおちょこのようにして日本酒を飲むのもOKです。むしろ日本酒の楽しみ方の1つとして試してみましょう。
日本酒は酒器の違いによって大きく表情を変化させる性質があります。
つぼみ状のショットグラスは大吟醸グラスに似ていて、香り豊かな日本酒を深く味わえるでしょう。
ラッパ状のショットグラスもおちょこより丈が高くなっているため、おちょこで飲むのとまったく同じではありません。
ショットグラスはおちょこよりも香りがゆっくりと立ってくるので、まろやかさと爽やかさのバランスの違いを感じられますよ。
ショットグラスは透明なガラスを使用しているのが主流なので日本酒の色合いも楽しめます。
エテナの錫のショットグラスなら、中をのぞき込んだときに光が増幅されて日本酒がさらにきれいに見えるのでおすすめです。
ガラスのショットグラスとはまた違う楽しみがあるので試してみてください。
おちょことショットグラスは違いを生かすのがおすすめ
おちょことショットグラスは似ているところもありますが、はっきりとした違いもあることがわかったでしょうか。
大まかな見方をするとおちょこもショットグラスも小さめの酒器で、強いお酒を飲むときに使われるので同じようなものです。
形状も円筒状やラッパ状などの似ているところがありますが、おちょこは丈が低くて口径が広く、ショットグラスは丈が高めで口径が狭いという違いがあります。
材質の違いもあるので、実際に同じお酒をおちょことショットグラスで飲み比べてみると「まるで違う!」と感じるでしょう。
おちょこの代わりにショットグラスで日本酒を飲んでも、ショットグラスの代わりにおちょこでテキーラを飲んでももちろんOKです。
ただ、せっかくならいろいろな酒器で飲んでみることをおすすめします。
おちょことショットグラスの違いを意識して両方用意し、お酒の楽しみ方を広げていってはいかがでしょうか。