おちょことぐい呑みって何か違いがあるのかなと疑問になったことはありませんか?どちらも有名な酒器ですが、ほとんど同じと思うかもしれません。
しかし、酒器はお酒の特徴、つまり酒質や飲み手の気分、シチュエーションなどによって使い分けできるように生み出されてきました。おちょことぐい呑みも同じように見えて違いがあります。
この記事では日本酒をよりおいしく飲みたい人や、おちょことぐい呑みの違いを意識した使い分け方を知りたい人のためにわかりやすくまとめました。酒器のちょっとした違いがもたらす変化についても紹介していきます。
おちょことぐい吞みは同じ?違う?
おちょことぐい呑みは同じなのか違うのかについては「違う」というのが答えです。見た目ではとても似ているのは本当で、遠目で見たら区別できないかもしれません。
ただ、酒器に少し詳しい人ならおちょことぐい呑みの違いについて漠然としたイメージを持っているのではないでしょうか。
おちょことぐい呑みは細かく見ていくと、同じ部分と違う部分があります。簡単におちょことぐい呑みを比較してみましょう。
おちょことぐい吞みの主な用途は同じ
おちょこもぐい吞みも主な用途は「日本酒を飲む」という点で同じです。どちらも日本の伝統的な酒器で、お酒を飲むのに使われてきました。
源泉をたどるとどちらも料理を盛るお皿だったと言われています。そのお皿にお酒を注いで飲む習慣が生まれ、酒器として用いられるようになったという説が有力です。
陶器や錫器、木器や漆塗などが伝統的に主流なのもおちょことぐい呑みの共通点です。日本で生まれ、日本酒とともに育ってきた文化の一部なので似ているところが多いのも納得できるのではないでしょうか。
おちょことぐい吞みの違いはサイズ
それでは、おちょことぐい呑みの違いは何なのでしょうか?漠然としたイメージを持っていた人はサイズではないかと考えていたかもしれません。なんと、それが正解です!
おちょことぐい呑みはサイズで区別されています。なんとなくおちょこは小さくて、ぐい吞みは大きいと思っていた人もいるのではないでしょうか。実はそのサイズの違いこそがおちょことぐい呑みの相違点なのです。
ただ、おちょことぐい呑みの境界線ははっきりと決められているわけではありません。口径や高さが何寸、何センチメートル以上ならぐい吞み、容量が何勺以下ならおちょこというルールはありません。
ただ、日本の酒文化の中に根付いてきた代表的な酒器なので、共通のイメージはあります。制作者や販売会社が「おちょこ」だと言えばおちょこになり、「ぐい吞み」だと言えばぐい吞みになりますが、業界人が見て「違う」と思われることはあまりありません。
おちょこは一口で飲めるサイズ
おちょこはくいっと一口で飲めるサイズです。ちょこっとだけ飲むのにぴったりのサイズで、たくさん飲みたいときには何度も注げばよいという考えになっています。
お酌をする文化が日本にはありますよね。お酌を受けるときには器を空にするように上司や先輩に言われた経験があるのではないでしょうか。
接待やお祝い事、歓送迎会といったシチュエーションではお酒をすすめられたら器をあけなければならないことがあります。この文化は戦国時代にも存在していたと言われていて、一口で飲み干せるサイズのおちょこが活躍していました。
このような文化的な影響もあって宴席ではおちょこがよく用いられています。ちょっとだけ飲める小ぶりなおちょこは晩酌にも適していて、徳利とセットで好きな量だけ飲むのが人気です。
ぐい吞みはしっかりと味わえるサイズ
ぐい吞みは一口では飲み切るのが難しいくらいのサイズです。おちょこが2勺(36mL)くらいの容量のものが主流なのに対して、ぐい吞みは3勺以上はあって、大きいと1合(180mL)ほどの容量があります。
ぐい吞みはぐいぐい飲める、ぐいっともって飲むという意味合いで名付けられたと言われています。満足な量のお酒を注いで、飲み手のペースで飲むというのがぐい吞みのコンセプトです。
お祝いの宴席ではお酌をするのがマナーなので、器があいていないときでもお酒を勧めなければならないでしょう。しかし、大きなサイズの器を無理にあけさせるのははばかられてしまいます。
ぐい吞みはこのような宴席には向かないですが、カジュアルなシチュエーションにマッチする酒器です。自宅で飲みたい分だけ飲む、プライベートの付き合いをしている仲の良い友人と飲むときに使うにはぐい吞みがうってつけですね。
サイズの大小がもたらす違い
おちょことぐい呑みの違いはサイズだけだということがわかりました。しかし、酒器としておちょことぐい呑みはそれぞれ愛されてきた歴史があり、現在でもシチュエーションによって使い分けられています。
おちょことぐい呑みのサイズの大小はどんな違いをもたらすのか気になるのではないでしょうか。
ここではサイズの違いによって何が変わるのかをまとめました。おちょことぐい呑みの使い分け方を考えるときの土台にしてください。
お酒を飲む量
サイズの大小によってお酒を飲む量には当然ながら違いが生まれます。おちょこの場合には少量にしておくことも、次々に注いで飲むこともできます。
ぐい吞みは大きいのでちょうどいいサイズのものを手に入れておけば、1杯で満足な量を注いで飲めるでしょう。ぐい吞みは飲む量をコントロールしやすいのが特徴です。
おちょこは「もうちょっと飲みたい」とついつい思ってしまって飲み過ぎるときもあるので注意した方が良いかもしれませんね。
デザインの多様性
おちょことぐい吞みではデザインの多様性に違いがあります。大きいサイズのぐい吞みの方が技巧に富んだ加工をしやすく、インテリアとして飾っても見栄えが良い性質があります。
おちょこももちろんデザインにこだわっているものがありますが、多種多様なデザインがあってラインナップが豊富なのはぐい吞みです。
気分やシチュエーションに合わせて美しい酒器で飲むとお酒をよりいっそう楽しめるので、デザインにこだわってみようと思ったらぐい吞みから探してみることをおすすめします。
お酒の味や香り
お酒はおちょこで飲むのとぐい吞みで飲むのとでは味や香りが変わります。酒質が変化するのではなく、酒器のサイズの大小によって味わいの感じ方に違いが出るのが理由です。
人の味覚や嗅覚はとても繊細なので、わずかな違いを敏感に感じ取れます。小さいおちょこでは味や香りが抑えられ、すっきりとした味わいになります。大きなぐい吞みでは香りが広がりやすくて味も丸みを帯びた感じになるのが特徴です。
日本酒では温度による変化も大きく受けます。おちょこは一口で飲めるサイズなので、冷酒なら冷酒のまま、熱燗なら熱燗の温度のまま飲めるでしょう。
ぐい吞みは何口かに分けて飲むため、冷酒が冷や(常温)に近づいていき、熱燗もぬる燗を経て冷やに向かっていきます。その間に辛さや甘さ、香りの立ち方や酸味の強さなども変化します。
サイズの大小は温度にも違いを生む重要なポイントです。日本酒は特に温度にこだわりがある方もいるでしょう。おちょことぐい吞みでは温度の味わい方に違いを付けられます。
おちょことぐい吞みの使い分け方
サイズの大小がいろいろな違いをもたらすことがわかると、使い分け方にもイメージができてきたのではないでしょうか。
おちょことぐい呑みはシチュエーションやお酒へのこだわり、あるいは使用用途によって使い分けるのがおすすめです。
この3つの観点からおちょことぐい吞みの使い分け方を簡単に紹介します。
お酒をカジュアルにゆっくり味わうならぐい吞み
カジュアルなシチュエーションでお酒をゆっくりと味わいたいときにはぐい吞みがおすすめです。
ぐい吞みはマイペースで好きな量だけ時間をかけて飲める魅力を持っています。一人で晩酌をするときも、家族で食事をしながらお酒を楽しむときも、仲の良い友人と酒を交わしながら談笑するときにもぐい吞みがうってつけです。
お酌をする気遣いもいらないので気軽にお酒の場を満喫できます。
お酒をフォーマルに嗜むならおちょこ
フォーマルなシチュエーションでお酒を嗜むときにはおちょこが適しているでしょう。
接待やお祝いなどではお酌が必要なこともあります。お酌はフォーマルな宴席では出会いや挨拶のチャンスを作るコミュニケーションの手段です。
そのメリットを生かしながら、お酌をする側もされる側も互いに気遣いながら楽しい場にするには小さなおちょこが適しています。
また、おちょこなら飲み過ぎて羽目を外さないようにする工夫もできるので安心です。
温度の変化を楽しむならぐい吞み
日本酒の温度の変化をじっくりと楽しみたいときにはぐい吞みをおすすめします。おちょこでもゆっくりと飲めば温度が変わっていきますが、お酒の量が少ないので大きな変化を楽しむのには向いていません。
しかし、大きなぐい吞みなら時間をかけて飲める量を注げます。じわじわと変化していくのを感じ取っていくと日本酒のおいしさも倍増するでしょう。
冷酒や燗酒の温度を重視するならおちょこ
この温度で飲むのがおいしいという日本酒を飲むときにはおちょこが向いています。冷酒はきりりと冷たい方が好き、燗酒は40℃がベストなどといったこだわりを持って飲むのも日本酒の楽しみ方です。
おちょこは一口で飲めるサイズなのでベストな温度から変わらないうちに飲み切れます。また注いですぐに飲むという形で、いつもマイベストの日本酒を堪能できるのがおちょこの魅力です。
ギフトやお祝いに贈るならぐい吞み
ギフトやお祝いとして逸品を贈るときにはぐい吞みならきっと喜ばれます。デザインが多種多様なので相手の好みに合わせて選べるからです。
錫製のぐい吞みのように機能性が優れていて高級感のある品物もあります。サイズが大きいので名入れもしやすく、特別な記念品として贈りたいときにもぐい吞みがおすすめです。
カジュアルな気持ちで普段から使える点でもぐい吞みはギフトとして喜んでもらえます。
おちょこは徳利や片口と一緒にして贈り物に
おちょこも贈り物に使えますが、せっかくなら徳利や片口などと一緒にしましょう。セットとして贈ることで喜ばれるギフトになります。
おちょこだけでもデザインが秀逸で魅力的なものはたくさんあります。ただ、おちょこを使うシチュエーションを考えるとお酒を注ぐ酒器がないと使いづらいでしょう。
おちょことセットのデザインの徳利や片口があると来客のときなどにも使いやすいので、いろいろなシーンで活用してくれるでしょう。
セットにして贈るのはぐい吞みの場合もおすすめです。小さめのぐい吞みに注げる酒器とのセットにするとカジュアルな場面でもフォーマルな場面でも使いやすくなります。
冷酒セットは日本酒好きから特に喜ばれるので、ギフト選びのときには候補にしてみましょう。
まとめ
おちょことぐい吞みはサイズの違いによって区別されています。大きさについてはっきりとしたルールがあるわけではありませんが、一口で飲めるサイズかどうかが違いです。
お猪口は一口で飲みやすいサイズ、ぐい吞みは一口では普通はちょっと多いと感じるサイズになっています。なんとなくイメージがあった方はだいたい正解だったのではないでしょうか。
大小の違いによっておちょことぐい吞みがまったく同じものではないというのもイメージができたかと思います。お酒を飲むために使うのは同じですが、シチュエーションや用途によって使い分けるとお酒とより良い付き合い方ができます。
お酒が好きならおちょこもぐい吞みも持って使い分けていくのがおすすめです。自分用にお気に入りを見つけていきましょう。
ご贈答用にもぐい吞みや冷酒セットが好まれているので、何を贈ろうか悩んだときには検討してみてください。お酒が好きな方へのギフトやお祝いとして贈るときっと喜んでもらえます。