錫の安全性・毒性について

錫の安全性・毒性について

錫(スズ)は体に良くないのではないかと不安に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。金属の中には毒性があって健康被害の原因になったものもあります。

スズも健康との関わりでメディアに取り上げられたことがありました。

錫製の食器を使うと身体に悪そうだと思うかもしれません。錫にもし毒性があるなら、食器として使用して食べ物や飲み物を口にするのは健康リスクがあると考えられるからです。

しかし、本当に錫は危険なのでしょうか。実は錫は金や銀と並んで安定な金属で、安全性が高いことが知られています。

弊社で錫の食器を取り扱っているのは、どなたでも安心してご利用いただけるからに他なりません。 この記事ではスズになぜ毒性があると言われているのかをご紹介します。錫が安全とわかる理由についてもご説明しますので、ぜひご一読ください。

誤解されている錫の毒性

スズが毒性を持っていると言われるのはただの誤解です。正確に言えば、どのような金属でも大量に摂取すれば多かれ少なかれ毒性があります。

しかし、ステンレス製や鉄製の食器を使っても毒性があるから怖いと思う方はいないでしょう。むしろ鉄鍋は調理に使うと鉄分を取れるから良いとすら言われています。

錫という金属にあまりなじみがなくて不安がある方もいるでしょう。錫も鉄や銅、金や銀などと同じで安全性が高い金属です。それでもスズは毒だと言われるのには理由があります。

粉塵被害

粉塵被害

錫に毒性があるという誤解が生まれた理由として粉塵被害が世界的に話題になったことが挙げられます。粉塵被害とはどのようなものなのでしょうか

金属は採掘場で掘り起こされた鉱石から精製するという流れで生産されています。鉄やアルミニウムは鉄鉱石やボーキサイトから製造していると知っている方もいらっしゃるかもしれません。錫も同じように錫の鉱石を採掘して生産しています。

採掘場では壁や地面を削って鉱石を掘り出していきます。採掘をしている現場では粉塵が飛び散ってしまい、辺り一面が金属や土埃で覆われてしまうのが一般的です。

採掘現場で働いている人たちはその粉塵を吸いながら仕事をすることになります。粉塵は肺の奥の方まで入り込んでいき、肺の病気を引き起こす原因になるのが問題です。肺の中に粉塵が蓄積してしまい、しばらく後になってから病気になるケースもあります。

このような粉塵被害は錫の採掘現場でも起こっていたでしょう。鉄鉱石やボーキサイトの採掘場でも同じように起こっていた被害なので、錫に毒性があるのが原因ではありません。

現在では粉塵被害が社会問題として認識されて状況は改善されました。粉塵をほとんど通さない防塵マスクが使用されていて、粉塵が立ち込める中での長時間労働もおこなわれなくなってきています。

無機錫と有機錫の違い

無機錫と有機錫の違い

錫には無機金属としての錫と有機金属としての錫があります。食器や工芸品などに用いられている純粋な錫や、ミネラルとして水に溶けているのは無機錫です。

有機錫は防腐剤や殺菌剤などとして用いられてきた錫と炭素を含有している物質を指します。

錫の毒性が大きくメディアで取り上げられたのは有機錫の毒性が明らかにされたからです。有機スズ化合物にもいろいろな種類があります。

その中でもトリアルキルスズ、ジアルキルスズと呼ばれる有機錫については毒性が強いことが明らかにされました。中枢神経系に影響することがわかっていて、麻痺や震えなどの中毒症状が起こるリスクがあります。そのため、日本だけでなく欧米でも有機スズ化合物の一部は厳しい規制を受けています。

しかし、有機錫と違って無機錫には毒性がありません。例えば、塩化第一錫と呼ばれる無機錫は食品添加物として認められています。

錫は錆びにくくて腐食しづらいため、錫の性質が変化することもほとんどありません。錫の食器から突然、有機錫ができてしまうようなことはないので、無機錫は安全性が高くて安心です。

鉛を含んだ錫合金(従来の錫合金)

鉛を含んだ錫合金(従来の錫合金)

純粋な錫は安全性が高くても、不純物が混じっていて健康リスクが出てきてしまうという可能性は捨てきれません。錫は純粋な単体として使用しようとすると軟らかすぎて加工するのが難しいという問題があります。

そのため、錫を硬くして加工しやすくするために合金が使われてきました。錫合金の中には有害性が懸念されている金属が使用されていることもあります。

最も典型的なのが鉛との合金です。

鉛は中枢神経系に対する毒性や不妊のリスク、小児の発育不全などの健康被害を引き起こすリスクがあることが示されています。日本では鉛の毒性から国民を守るために食品衛生法で食器などの口に触れるものには鉛を使用してはならないことを定めています。

従来の錫合金には鉛を使っていることがありました。エレクトロニクスでは錫と鉛の合金ははんだ合金と呼ばれていて、配線の接続や表面のメッキに使用されています。このような鉛を含んだ合金がよく用いられているため、スズ自体にも鉛と同じように毒性があるという誤解が生まれたのでしょう。

海外(マレーシアなど)の錫製品

海外(マレーシアなど)の錫製品

世界的には錫の合金としてピューター合金がよく用いられています。ピューター合金は錫とアンチモンと銅の合金なのでレシピ上は鉛が含まれていません。アンチモンも銅も安全性が高い金属なので、ピューター合金は安全性が高い錫合金だと言えます。

ただ、マレーシアなどの錫の利用が進んでいる地域でお土産屋さんに行ってみると、錫製品に「食器として使用してはならない」と書かれていることがあります。ピューター合金で作られている錫器でも食器としての使用を控える必要があるなら、やはりスズの毒性が問題視されているのではないかと思うかもしれません。

実は海外では錫の純度が低くて不純物の問題が発生しているケースがあります。錫の中に鉛が含まれているリスクがあるので、錫製品を食器には使用しないように注意喚起をしているのです。このような事情があって錫は毒なのではないかという誤解が生じています。

日本では高度に精製されていて純度の高い錫が手に入ります。精密機械の製造のときにも錫が使われているため、高純度の錫を生み出す技術力を日本は持っているのです。

そのため、国内で流通している錫製品なら鉛が不純物として含まれていないので安全です。海外の錫製品については国による違いも、メーカーによる違いもあるので気を付けましょう。

エテナは鉛を一切含まない錫合金

エテナは鉛を一切含まない錫合金

エテナは錫合金の一種として生み出されました。エテナは一昔前に用いられていた錫と鉛の合金ではありません。安全性が高い高純度の錫を使用して、アンチモン・銅・ビスマスを合金にすることで仕上げています。アンチモンや銅だけでなく、ビスマスについても毒性はないので安心です。

エテナは錫の重厚感を保ちつつ、加工しやすい程度の硬さを備えているの合金です。鏡面加工を施せるので美しい金属光沢を生み出すこともできます。安全性が高くて輝かしい姿に仕上げられることから、食卓を彩る逸品としてエテナは主にタンブラーやショットグラスなどの食器の制作に利用してきました。

トロフィーや升などにももちろん加工できるので、工芸品も美しく制作できる素材です。 錫には毒性がないだけでなく、古代から浄化作用がある金属として用いられてきた歴史があります。錫器に水を注ぐと浄化され、ほのかな甘みを帯びると言われています。

エテナも安心してご利用いただける錫器ですのでぜひご検討ください。

錫器は末永く使用できる

錫器は一生を共にできるくらいの寿命の長さが魅力の一つです。食器が割れたり、錆びてきたりして捨てることもあるのではないでしょうか。

錫製品はきちんとお手入れをしていれば末永く使用できます。

錫は安定性が高くて割れない素材

錫は安定性が高くて割れない素材

錫は金や銀と同じで安定性が高い金属です。鉄製品はだんだんと錆びてきてしまって赤くなってしまいます。銅製品も長く使っていると錆で青緑色に変色するのが悩みになりがちです。

しかし、錫は安定性が高いので簡単には酸化されません。錆びて台無しになってしまうようなことがないのでいつまでも愛用することができます。

また、他の金属素材と同じで、うっかり落としてしまっても割れることはありません。錫は軟らかい金属なので傷はついてしまうかもしれませんが、小さな傷なら磨き上げるだけで元の美しい姿に戻ります。

ガラスのようにもろい素材ではないので、錫器なら割れて使えなくなってしまうことはありません。割れたガラスでケガをするような危険もないので、お子様がいる家庭でも安心して使用できます。

錫器のお手入れは大切

錫器のお手入れは大切

錫は錆びにくくて割れない性質がありますが、変色してしまうことはあります。お手入れを欠かさずおこなうのはとても大切です。お手入れが必要と言われると、かなり大変なのではないかと不安になる方もいらっしゃるでしょう。しかし、錫製品のお手入れには技術も必要なく、大きな手間がかかることもありません。

錫器を使用した後は中性洗剤で洗い、水分を拭き取って乾かしましょう。たったそれだけのお手入れでも錫は美しさを保ち続けてくれます。

長く使用していると飲み物の色素成分が沈着したり、微細な傷が付いたりしているのが気になることもあります。その際のお手入れ方法は以下のページにまとめてご紹介しています。簡単にできるお手入れなのでご安心ください。

錫器の希少性

錫器にはあまりなじみがないという方もたくさんいらっしゃいます。特にエテナのように食器に使える錫器はとても希少価値があるので、最近までご存じなかったかもしれません。

錫器は希少性があり、エテナはその中でも魅力がある逸品を揃えていますのでぜひご検討ください。ここでは錫器の希少性に関して簡単にご説明します。

錫は金銀に続いて希少価値がある金属

錫は金銀に続いて希少価値がある金属

錫器が希少なのは錫そのものがあまり生産されていないからです。金や銀は貴金属として知られていて、とても希少価値があるというイメージがあるでしょう。実は錫は金銀に続いて希少性が高いと言われています。

錫は中国とインドネシアによる生産が大半を占めています。2019年の錫の生産量は2国でおよそ16万トンでした。

金は世界全体で5万トン程度の埋蔵量と言われていて、毎年2000トンくらいしか生産されていません。銀も年間2万トンに届かないくらいの生産量です。

しかし、銅は生産量トップのチリだけで600万トン前後、鉄はトップのオーストラリアで5億トン以上になっています。金銀に比べると錫はたくさん生産されていますが、身近な金属に比べるといかに希少性があるかがわかるでしょう。

錫器の制作には技術が必要

錫器の制作には技術が必要

錫は素材としても貴重ですが、生産された錫の全てが錫器に加工されているわけではありません。エレクトロニクスを代表とするさまざまな分野で使用されているので、錫器に用いられているのはほんの一部です。

錫器の制作には高度な技術が必要で、職人の国とも言われる日本ですら錫器を仕上げられるメーカーはあまりありません。伝統的な技術を生かして新しい錫器を生み出されていますが、その技術を継承してきているところも少なくなりました。

錫は加工が難しいという問題があり、価格的にもステンレスに比べると劣ってしまって競争力を付けるのが大変だからです。ただ、それでも弊社のように錫器の生産を続けている会社はあります。

錫を加工しやすく、魅力のある姿に仕上げる力がある職人が錫業界を支えています。錫を加工しやすいように合金にして鋳造する技術を培ってきた数少ない職人たちが国産の錫器を作り上げているのです。

エテナは手作りの希少な錫器

エテナは手作りの希少な錫器

エテナの錫器は全て熟練の職人が一つ一つ丹精を込めて手作りしています。鋳型を作るところから職人が手がけ、表面の加工も一つずつ丁寧に仕上げていっています。

機械化による量産が進められる時代になりましたが、エテナは職人が魂を込めて手作りしている希少な錫器です。職人としてもプライドを持ち、いつまでも使って欲しいという想いを込めて作り上げてきています。

エテナは他にはない希少な錫器です。鏡のように光り輝くまで錫を磨き上げ、高級感の溢れる逸品に仕上げています。錫の安全性をご理解いただいた上で、ぜひ美しさも浄化する力も兼ね備えるエテナをご利用いただければ幸いです。

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